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読書「海の底 有川浩」他

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夏は暑さで集中力が落ちるので読みきれるか心配でしたが、今回の作品はどれも面白くサクサクと楽しく読めました。

ネタバレあります。

204.海の底 有川浩

『巨大ザリガニの大群が横須賀を襲撃。人間を襲っては食べている。

横須賀基地に停泊していた海上自衛隊の潜水艦「きりしお」に乗っていた艦長と自衛官の夏木と冬原は逃げ遅れていた子供たちを助け、艦内に立てこもることに。

しかし、艦長は艦内に戻れなくなり巨大ザリガニの犠牲に・・』

SF小説になるのでしょうか?突拍子もないストーリーですが、出だしから大迫力でスピーディな展開、先が気になり一気に読み終えました。こういう小説もあるんだと驚きに近いものもありました。

ザリガニとの戦いは怪獣映画を見ているようでしたが内容はそれだけでなく、警察と自衛隊の軋轢、艦内でのほのかな恋心や子供たちの心情の変化など、どれも丁寧に描かれていて飽きることはなかったです。

登場するキャラも魅力的でした。夏木と冬原の掛け合いなどはテンポのよく面白かったです。子供たちは自分の歪みに自ら気づき、大人への階段を一つ登ったようでした。

題名に惹かれたのですがたくさんの人が死にますし、恐ろしい内容でした。それでも後味は悪くなく、むしろ爽やか。そういうギャップも面白かったです。

205.声の在りか 寺地はるな

『希和は夫と小学生の息子と3人暮らし。手作りのお菓子やおしゃれな生活の様子をSNSに投稿しては反応を楽しんでいる。

夫やPTA仲間に不満はあるものの、言いたいことは飲み込み、事を荒立てないように過ごすことにしているが、その事自体を窮屈にも感じている。

ある時息子の書いた"こんなところにいたくない"というメッセージに不安を覚える』

読んでいて希和にはイライラしましたが、共感できるところも多々ありました。彼女が特別に過敏なわけでもなく、ごく普通の人です。多くの人が同じような思いを持ちながら日々暮らしているではないでしょうか。

言葉にしないと誤解も生まれ、伝わらないことがあります。それに気づき声に出すことで一歩を踏み出し、希和の周りは好転していきます。

人の目を気にしすぎて周りに合わせているだけでは問題の解決にはならない。息がつまるだけ。

ほんの少し強い気持ちを持って自分の声を上げれば楽になり、もしかしたら絡まった糸もほどけるのだと思います。

自分の中に色々と抱え込んで行き詰まった人にヒントを与えてくれるような物語でした。

206.蝶の眠る場所 水野梓

『テレビ局の社会部記者の榊美貴は男子小学生の転落死を取材中、亡くなった少年の母親の「殺された」という言葉が引っかかり、単なる事故ではないのでは?と考え調べ始める。

その中で何年も前に無実を訴えながらも死刑となった殺人事件の犯人の影が浮かび上がり・・』

出だしのショッキングなつかみもあって、すぐに引き込まれました。ミステリーとしてとても面白かったです。

重くて辛い内容なのですが、それだけでなくシングルマザーの子育ての奮闘、個性的な仕事仲間、そしてうっすらと恋心も盛り込まれていてほっと出来る場面もあり、そのバランスも良かったです。

描写が丁寧で登場人物の人となりも理解することが出来ましたし、読みやすく、読み応えもありました。

初めての作家さんでしたが他の作品も読んでみたいと思いました。

207.ひと 小野寺史宜

『柏木聖輔は女手一つで大学まで進ませてくれた母を亡くし、20歳で独りになった。

大学を中退し仕事を探している最中、お金もないのに吸い寄せられた惣菜屋でメンチカツをおまけしてもらった。そしてその店のバイトの張り紙を見て頼み込み働かせてもらうことに』

様々な人との縁により自分の生きる道を見つける聖輔の青春物語ですが、すごく爽やかなストーリーというわけでもなく、ほぼ何も起こりません。

それが少し退屈に感じる人もいるかもしれませんが、私は逆にリアルに感じました、生きるってこういうことだよねと。

現実を受け止めて無理をしない、投げやりになることもなく冷静に先を考えるという彼の姿は立派だなと思いました。

彼は良い人達に巡り会えて幸運でした。様々な良縁を描きながら「独りじゃないよ」というメッセージが伝わってきました。

 

最後まで読んでくださってありがとうございます。


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