234.カンディード ヴォルテール
【純粋な青年カンディードは領主の娘と恋に落ちキスをしているところを見つかり、暮らしていた城を追い出される。
師でもある哲学者パングロスの「すべてが最善である」という最善説を信じヨーロッパや南米を転々をする中で、戦争や海賊、伝染病などの災難を経験する。
波乱万丈を乗り越えカンディードが行きつく先は・・】
夏川草介著「本を守ろうとする猫の話」を読んだのがきっかけで、この本を手に取りました。主人公の林太郎君が読んでいた本がこの「カンディード」。
古典なのでもっと難しいものかと思っていましたが、軽いタッチで読みやすかったです。でも読み終われば色々と考えさせられ深い・・決して軽いものではありませんでした。
主人公のカンディードがどんな状況になっても最善説によりポジティブ?に考えて受け入れようとようとする様子はコメディのようでした。
カンディードとはフランス語で無邪気とか素直といった意味があるようです。
世の中の女性への残酷な仕打ちには怒りを覚え、人の良いカンディードには呆れながらも当時の世相なども興味深く、また展開も早いのでサクサク読めました。
多くの苦難を経験しカンディードも最後は最善説と距離をおくようになります。
残酷な運命を目の前にして「すべてが善」という考えに矛盾を感じるのは当然だと思います。でも何もかもが自分を作り上げていく経験と考えるなら、苦難を試練と受け止めるために「すべてが善」も多少必要な考え方なのかもしれないとも思いました。
幸せは何か?ということを問う内容でもありました。結局は「足るを知る」ということ。幸せの条件はお金でもなく地位や名誉でもない、そして恋でもない。
ちょっとショックを受けたのは、あんなに会いたいと恋い焦がれていた姫に対する思いの変化。彼女美しさは長い年月の末すっかり失われてむしろ醜くなり、カンディードももはや結婚したいなどとは思わないというあたり。彼のこの正直さに笑いました。
そして当時は床屋が外科の治療も行っていたということにもびっくりでした。
私は光文社古典新訳文庫で読んだのですがヴォルテール「リスボン大震災に寄せる詩」も収録され、同時に読めることは意味のあることでしょう。この大震災を経験しているからこその「カンディード」だと思いました。
235.大人のための「恐竜学」 小林快次監修 土屋健
面白すぎました。
爬虫類系は好きではなく、子供の頃から恐竜に興味を持ったことはなく、そのため恐竜の基本情報もほぼ知りません。
それでも素朴な疑問として、なんであんなに大きな生き物が生きていられたのか?どうして絶滅したのか?など知りたいことはたくさんあります。
説明が平易な言葉で丁寧にされているので素人にもわかりやすく、イラストも入っていてそれぞれの恐竜をイメージできるのでとても楽しかったです。そしてもっと恐竜について知りたくなりました。
恐竜がいた期間が1億6000万年間、最初の恐竜は?五感は?鳴き声は?一度にどのくらい卵を産んだのか?
「へぇ〜?そうなんだ」と知ることすべてが新鮮で面白い。
私はステゴサウルスが好き。

236.火星の人(上・下巻) アンディ・ウィアー
【火星に到着した有人探査のクルー達を襲う猛烈な砂嵐。その中で事故で飛ばされたマーク・ワトニーの姿は見えなくなってしまった。クルー達はワトニーがすでに死んだと判断し火星を後にする。
しかし彼は生きていた。たった一人火星に残されたワトニーは生きて地球へ帰るため、自身が持てる全てを振り絞る】
映画「オデッセィ」の原作。映画はみていません。
面白かったぁ〜。
最初から最後までドキドキハラハラのSFでした。最後は涙が止まりませんでした。
火星に一人残されてしまうなんて誰が考えても絶望的なのですが、ワトニーが冷静でポジティブでお茶目で好感度抜群、そのせいか読んでいて重苦しくないのです。
彼が生き延びるために知恵を絞って取り組む作業の全てを理解できたわけではないのですが、その奮闘ぶりは涙ぐましく応援せずにはいられません。誰もがワトニーのファンになること間違いなしです。
火星の自然や宇宙の大きさも想像ができてロマンチックな気持ちにもなりました。
ワトニーの知恵や発想力、応用力、柔軟性、行動力、緻密さ、精神力、体力・・・とにかく全てが素晴らしい。
誰かの陰謀とか、国家権力が絡むこともなく、単純に一人の男のサバイバルを描いているというのも集中しやすくて良かったです。
最後まで読んでくださってありがとうございます。